厚顔無恥
Friday December 22nd 2006, 10:33 pm
Filed under: Perfume, 日本語

来年発表される予定の、世界的なイタリア人ファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニの新しいメンズフレグランスは、広告用の写真と香水の名前が(アティテュードと言うそうな)ほぼ決まっているにもかかわらず、肝心の中身となる香りを、どの香料会社(フェルメニッヒ、ジボダンなど)が製造するのかが決まっていない。それというのも、「硬派の男」を彷彿とさせる香りというコンセプトは明確にあるのだが、それがどんな香りなのかということを決める段階になり、ジョルジオ・アルマーニ・パルファムスを所有するパリのロレアル社と、ジョルジオ・アルマーニ自身との間での意見がまとまらないからだ。

ひとつのコンセプトから、それに合った香りを創り上げていく過程が容易でないことは、香水が誕生するまでの過程に馴染みがない者にも、ある程度の察しはつくことだろう。香りを創るという作業は、個人の記憶ということと密接な関係を持つ嗅覚が判断を下していく作業であるが故、プロジェクトに関わっている人々の意見が、あちらこちらで衝突するのは、極当たり前のことだ。

ところが、今回のジョルジオ・アルマーニの新しい香水制作の展開は、いつもと少々様子が違う。それは、プロジェクトが一歩前進をしたかと思う度に、「緊急事態」という言葉が飛び交うからも分かる。その原因というのは、様々なディシジョンメーキングが、ジョルジオ・アルマーニの新しいボーイフレンドの御機嫌に左右されているからだ。その徹底した完璧主義から、ファッションの帝王として恐れられているジョルジオ・アルマーニも、このモーリスという二十歳のベトナム人の恋人には滅法弱いらしい。モーリスが、「僕、こんな香水を付ける気がしないよ。」と言ってしまえば、たとえジョルジオ・アルマーニ自身が気に入った、フェルメニッヒ社の天才調香師アニック・メナルドの手になる試作でさえも、あっさりと没になってしまう。

そういうことから、このプロジェクトを実質上管理しているロレアル社は、モーリスが頼まれてもいない口出しをする度に、幾人もの優秀な香水創りのエキスパートをニューヨークからパリ、パリからミラノ、そしてミラノからニューヨークという具合に移動させなくてはならない状態が続いている。

恋は盲目とはよく言ったものだが、これはどう考えても帝王の厚顔無恥としか言いようがない。




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