Anaïs Anaïs by Cacharel と Z11
Z11:エクスクルーシブな合成香料 その2(謎めいてエクスクルーシブなタイプ)
車の名前のようですが、Z11とはある香料分子に付けられた名前です。最近まではフィルメニッヒ/Firmenichのパフューマー(調香師)以外は、誰もZ11そのものだけの匂いを嗅いだことがなかったと言われています。特許期限が切れてから少なくとも10年は経つと思われるので、現在は他でも同じ分子構造の香料を作っている可能性はありますが…
ドライなウッディノートを持つZ11が、初めてそれとわかるような使い方をされた香水と言えば、1978年に発表されたキャシャレル アナイス アナイス/Cacharel Anaïs Anaïsでしょう。この香水が大ヒットをした後、フィルメニッヒに於いて他の香水の中にもZ11が使用されるケースが急激に増加したことは言うまでもありません。Z11は長年フィルメニッヒの「切り札」として、フィルメニッヒ専属の調香師だけが使うことのできた香料なのです。特許がまだ有効だった期間は、多分その呼び名すら知られていなかったのでしょう。
こういう原材料は『きゃぷてぃぶ』と呼ばれ、例えばジボダン/Givaudanものなら、ジボダンの調香師しかその匂いを知りません。そうは言っても、他の企業がジボダンの手掛けた香水をGC(ガスクロマトグラフ)にかければ、見たことのない分子があるようだという事には気が付きますので、例えば、「ジボダンはどうやら新種のムスクを持っているらしい」というような噂が、ジボダン以外の香料会社の調香師達の間に広まるわけです。(都合上この段落中カタカナであるべき部分が平仮名になっております。)
見えないものだけに、なおさら謎めいていて、どうしても知りたいという気持ちをかき立てられませんか?
“share the secret…”
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