調香師 カルロス・ベナイム
昨日はサンクスギビング(感謝祭)だった。昨年同様、セントラルパークウェストにあるカルロス・ベナイム宅での朝食会に息子達と一緒に招かれた。ニューヨークのサンクスギビングというと、メーシーズのサンクスギビングパレードがよく知られているが、寒い思いをせずに素晴らしい朝食を楽しみながら、見晴らしの良い「特等席」からこのパレードを眺めることができるので、息子達も大喜びであったことは言うまでもない。
カルロス・ベナイムといえば、最近ではソフィー・ラベーと手掛けたブルガリの香水「ジャスミンノワール」が話題を呼んだIFFを代表する調香師である。ジャスミンノワールの発売にあたり、ブルガリは百万ドル相当のオイルを購入したということだから、最初の1年間で日本円にして百億円近い売り上げを見込んでいるのだろうか。カルロス・ベナイムによれば、昨夏にイスタンブールのトプカプ宮殿で行われた発表会は、香水のプレゼンテーションイベントとしては前例のないほど豪華なものだったそうだ。上の写真はその時の様子である。
カルロス・ベナイムは、他の調香師との共作が多いことでも知られているが、若手を引っ張り上げることが誰よりも上手であり、荒仕上げなものを洗練させる技術にかけては、ドミニク・ロピオンと並び業界でも随一の腕の持ち主である。香水業界において最も恐れられているAG女史に言わせると、カルロス・ベナイムほど学識と教養のある調香師はいないということだ。私個人の印象としては、カルロスは外交術に長けた、人間的に非常にバランスのとれた人物である。本人に聞いてみたことはないが、どうして調香師になったのだろうと思うことがある。
昨日の朝は、カルロス・ベナイム夫妻の親族や友人がたくさん集り、彼自身はホストとして忙しいにもかかわらず、隙を見て私の腕を引いて書斎まで行き、そこに立て掛けられてある趣味で描いたペインティングやドローイングをいろいろと見せてくれた後、彫刻を学ぼうと思っているが自分には向いているだろうかなどの質問をされた。彼のドローイングとペインティングの腕はなかなかなものであり、彫刻を学ぶことをおおいに勧めておいた。暫くしたら、是非見せたいものがあると言ってくるのだろう。
(私の長年の友人である渡邉肇氏の撮影したカルロス・ベナイムのポートレートも、是非ご覧あれ。)
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